2013年3月26日火曜日

自殺志願・・・はじめての就職が!

それは、30年近く前のちょうどこの時期のことです。
 
私は大学の卒業式をまわりの華やかさ、自分の衣装の華やかさとは裏腹に
 
とても悲しくうつろな気持ちで眺めていました。
 
まわりの仲間たちは、今までの学生生活に別れを告げ、これから社会人となっていく自分を
 
ほんの少しの不安と、多くの期待を胸に、輝いているように見えました。
 
会話は今日の飲み会の予定と、4月からの仕事先の話でもちきりでした。
 
そんな中、私はひとり何も現実味を感じないまま、
 
ただただその時を一緒に楽しまなきゃ、と思っていました。
 
 
その理由は
 
あんなに苦労した就職活動でようやくこぎつけた、
 
自分の望む職場に絶望を感じていたからでした。
 
私は新入社員として内定していたところで、すでに1か月ほど仕事をしていました。
 
しかし、その世界は私が過ごしてきた社会とは格段の差がありました。
 
今思えば、それは「セクハラ、パワハラが横行している業界」だっただけなのですが、
 
当時は、まだそんな言葉もなかった時代
 
仕事は上司や先輩の望むようにしていくことのみが求められ
 
私はそれに疑問を抱くこともありませんでした。
 
そんな中、必死で仕事を覚えようとしていました。
 
初めてのことを教えてもらえずに罵倒され、
 
毎日のように夜中の3時まで飲み会につき合わされ、
 
次の日には私だけ9時に出勤し(他の人は12時くらい)
 
戦々恐々(せんせんきょうきょう)のスタッフたちの思惑に振り回されている毎日でした。
 
私も学生時代にたくさんのアルバイトをしています。
 
販売も事務もかなり経験していますので、それなりに仕事も人間関係もこなせてきていました。
 
でもそこは全く異質の世界だったのです。
 
「どうしよう。
 
こんな仕事は続けたくないけれど、親の反対を押し切って、
 
上場会社の内定を取り消してまで就職したのに」
 
「ここで辞めたら私は引きこもってしまうのではないか」
 
毎日憂鬱な日々でした。
 
まわりが楽しく暮らしているように見え
 
自分だけがこの苦しみの中でもがいているように感じました。
 
そんな中の卒業式でした。
 
卒業式後、仕事に行く朝、
 
私は乗り換えのホームに電車が入ってくるのを見て
 
「いま、一歩踏み出したら、死ねるんだ!」と思いました。
 
すべてが終わる!
 
これは突然に私の頭の中に響いてきた「やすらぎの声」でした。
 
 
そして、1週間ほどたったとき、いよいよ顔を上げて
 
ホームに滑り込んでくる電車を見つめたんです。
 
当時の山手線の緑色の車体の正面と
 
運転士さんの顔だけが目に飛び込んできました。
 
本当に映画のようにまわりの景色はかすみ、音は聞こえなくなるんですね。
 
そして、私はその一瞬を、あることのために逃しました。
 
それは、足を踏み出そうとした、その瞬間、運転士さんと目が合ったのです。
 
それは一瞬なのに、とても長い時間でした・・・
 
彼が私を見て、大きく目を見開き、顔が恐怖にこわばったのです。
 
それを見た私は、足を踏み出せなくなりました。
 
そう、私はその時、自分自身のこころを運転士さんという鏡に映していたのです
 
私は死にたくない!!

とようやく気づけたのです。

ただ、仕事から逃げたかっただけ!!
 
と思ったとたん、
 
自分の周りの人々の顔が浮かんできました・・・。
 
 
気が付くと目の前に何事もなく、
 
いつものように電車がとまり、普通に乗り換える私がいました。
 
そして、電車の中で、何事も起きなかったことにホッとして
 
つきものが落ちたように
 
「死ぬくらいなら、やめればいいんだ!」
 
たったひとつの真実の声が聞こえたのです。
 
それから次の日に辞表を出しました(罵倒されましたが)。
 
それでも当時は「負け犬」という感覚が残り、
 
対人恐怖のように知らない人と会うのが怖くなりました。
 
もちろんアルバイトはできませんでした。
 
が、幸い両親のもとにいたので、半年ほど家においてもらいました。
 
その間、学生時代の友人の務める福祉関係の施設を見学したことをきっかけに、
 
仕事を見つける努力を始めることができました。
 
障碍者と言われる人たちに私は救われたのです。
 
そして、卒業後半年で福祉関係の仕事に就きました。
 
そのとき、自分に約束しました。
 
「あの職場より恵まれているのだから、何があっても1年は仕事を続けよう」
 
それは、自分への励ましでした。
 
無事、社会人となりましたが、
 
そこでもまた、私の頑張りが試されることになりました。
 
それはまた次回にお話しします。

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